ミルキー様のお父様はこわばった表情を和らげると、今度は私のほうに向かって歩いてきた。 「海花には、辛い思いをたくさんさせてしまったね。すまない」 「……えっ?」 人間には絶対に頭を下げない。 そんな冷酷男と言われている、ミルキー様のお父様。 初めて見る光景に 「そっ…そんな。顔を上げてくださいっ」 私は動揺して、ぺこぺこと頭を下げてしまう。 「今まで誰にも話してこなかった。息子の琉希にも。私は子供の頃、人間に裏切られたことがあるんだ」 「人間に……ですか?」