ミルキー様が、怖い顔で立っています。
泣きそうな顔の綾芽さんが
「私は被害者なの。刺されそうだったの。怖い思いをしたの。琉希君、考え直してよ!」
と、ミルキー様の腕を必死に揺らしています。
パーティーに来ていた皆さんも、なんだ、なんだ?と集まってきて……
婚約パーティーが大混乱の、とんでもないことに!
――もしや、私のせいですか?
私がこの会場に来たせいでは?
私は口元に手を当て、オロオロオロ。
顔を左右に揺らさずにはいられません。
恐怖で、体中が小刻みに震えてしまいます。
ミルキー様は冷たい表情で、自分の指に収まっていた婚約指輪を外すと
「俺が身につけたい指輪は、これじゃないから」
ガーデンに生い茂る木々に向かって
ぽーい!
遠慮なく投げ捨ててしまいました。
えぇぇぇぇぇ!
綾芽さんとの愛が詰まった、婚約指輪ですよ!
ミルキー様は、普段の柔らかい笑みが全くありません。
周りを凍り付かせるような怖い顔で、げんこつを握りしめていますし。
いきなり、どうなさったのですか?



