うつむく私の瞳から、涙がこぼれる。
「泣いて謝るってズルくない? 女の武器使って、許してもらおうっていう人間の神経って意味不明だよね。琉希君もそう思うでしょ?」
綾芽さんの声が、最後だけ甘ったるくなったと思った次の瞬間
力強い声が、私の耳に飛び込んできました。
「綾芽さんとの婚約を、この場で破棄させてください!」
広いガーデンに拡声していく、ミルキー様の凛とした声。
離れたところにいる人にも聞こえる、お腹の底から息を吐き出したような大声で
「ちょっと待ってよ。急にどうしちゃったの? 琉希くん!」
綾芽さんは焦りを隠せないほどの、動揺声を震わせている。
状況を確認したい私。
涙をこすりながら、顔を上げてみました。



