私にはできません。
ミルキー様に素直に甘えるなんて。
ミルキー様の恋心が、私から綾芽さんに移った理由。
それはストレートに甘える綾芽さんが、可愛くてたまらなくなってしまったからですか?
ーーねぇ、ミルキー様。
私は伝えたい想いを心に忍ばせ、ミルキー様を見つめてみた。
ーー人に甘えられる可愛さを私が持っていたら、今でも私のことを、好きでいてくれましたか?
絶対に声に出してはいけない想いを、心の奥に押し込めながら。
「……海花?」
何か言いたげなミルキー様が、私の方に歩き出したけれど。
これ以上、私とミルキー様の距離は縮まらない。
ミルキー様が私に近づくのを阻止するように、綾芽さんがミルキー様の腕を引っ張ったから。
足が止まったミルキー様。
綾芽さんは目を吊り上げながら、怒り顔で私の方に向かってきた。
私は慌てて、その場に立ち上がる。



