――もう……ダメかも……
現実を受け入れ、激痛に耐える覚悟を決めたその時
カランガラン!
金属が転がるような音が、鈍く響いた。
この音は……一体?
何が起きているの?
私は恐怖で強く閉じていた瞳を、ゆっくりと開けてみる。
地面には、飛ばされたように倒れている拓真さん。
お腹に手を当てながら、激痛に顔をゆがめもがいている。
私のすぐそばには、白いタキシード姿のミルキー様がいて。
まるで、空手の足刀で犯人を蹴り飛ばしたかのよう。
体を左に傾けながら、長い足を横に突き出している。
――ミルキー様が、私たちを救ってくれたんですね。
状況が飲み込めたのにも関わらず、私は全く動けない。



