「私と縁のない人は、婚約パーティーの会場から出て行ってね。永遠にバイバ~イ!」
冷やかすように、綾芽さんがルンルン笑顔で出口を指さした瞬間
「うわぁぁぁぁぁ~~!」
いきなり拓真さんが、大声で吠え始めた。
手にはナイフ。
きらりと光る刃先は、空をきり裂くように、頭上に掲げられていて
――綾芽さんが斬られてしまう!
私は綾芽さんを守りたくて、綾芽さんに抱き着く。
防衛反応が働いたように、私たちは地面にしゃがみ込んだ。
「俺を選ばなかったこと、地獄で後悔させてやる!」
綾芽さんに覆いかぶさる私の背中が、拓真さんの方に向いている。
――綾芽さんはミルキー様の婚約者。
絶対に守らなくては!
私は斬られる覚悟で、綾芽さんを包み込む腕に力を込めた。



