「あの御曹司との婚約が嫌なんだろ? 俺のことが大好きなんだろう?」
「……そう……だけど」
「じゃあ、ためらうことは何もない」
「……」
「俺のことが好きなのに、なぜ俺の手を握らないんだ! 本当に俺のことが好きなんだよな?!」
ひょえぇぇぇ……
今まで笑顔だった拓真さんなのに、急に怒り出しちゃったし。
「オマエは俺の女だ! 婚約者だ!」
どんどん、彼の声が荒ぶってきましたけど……
「そうだけどさ、親が別の人との婚約を勝手に決めちゃったって言ってるでしょ!」
あああ…綾芽さん、怒鳴り返さないでください。
怒りに怒りで返したら、拓真さんがますます暴れてしまいますよ!



