ミルキー様のこととなると、心配が膨れ上がってしまうのが今までの私。
ダメです、変わらなくては!
私はもう、ミルキー様と何の関係もありません。
私がいることにより、婚約パーティーの雰囲気を悪くするといけませんので……
「これで失礼します。柿崎さん、ミルキー様のことよろしくお願いします」
私は柿崎さんに一礼をした。
出口をふさいでいた柿崎さんは、広げていた両手を下ろし
「わかりました」
がっかり顔で、お客さんの中に紛れていく。
今度こそ、バラのアーチを潜り抜けて外へ逃げ出さなくては!
そう思って、歩き出したてはみたものの
私の足が固まってしまいました。
ビクとも動きません。
だって……
「帰っていいとは、言ってないよね? 私」
魔女みたいに低くて不気味な声が、私の神経を一瞬で凍り付かせてしまったので。



