私は焦っている。

早く帰りたくて。

でも柿崎さんは、全く気付いていないんです。


「びっくりしました。海花さんが突然、お屋敷から出て行ったと聞いた時には。あの後、琉希様が大変だったんです。相当メンタルがやられていたんでしょう。海花さんが……」



真面目一徹の柿崎さんが、取り乱したように私に話しかけている。


身振り手振りをつけて。

早口で。バババーっと。




本当に申し訳ありません。


クール青年の柿崎さんが、珍しく焦り顔をしている理由が気にはなるのですが……

またの機会に、お話は聞かせていただきます!


ですので


両手を広げ、出口をふさぐように立つのは、やめてもらえませんか?