私はマイク台の後ろに回り込む。
体をかがめ、マイク台の下を覗き込んだ。
ミルキー様は三角座りで丸くなっている。
膝に顔をうずめ、私を見ようともしてくれない。
拒絶されているのが丸わかり。
やっぱりミルキー様は、私に幻滅をされたんだろうな。
そろそろ本気で考えた方がいいのかも。
中学卒業後の進路のこと。
月見家のメイドをやめ、お屋敷から出て……
ミルキー様に頼らず生きていける人間になるための、修業場所を。
私はミルキー様の心を癒したくて、一番柔らかい声を吐き出す。
「ミルキー様、安心して出てきてください」
「誰にも見られたくないんだ」
「もう私しかいませんから」
「今の俺の顔……一番見られたくないの……海花なんだけど……」
「えっ?」
……
……
そうでしたか……
やっぱり……私のことを幻滅されているのですね……



