幕を閉めたまま、私はマイク台の前に進む。
ミルキー様はまだ隠れたまま。
私は台の上を、こぶしでコンコン。
「ミルキー様、出てきても大丈夫ですよ」
……反応がない。
「ミルキー様?」
「……無理……だよ」
「なぜ……ですか?」
私のことが嫌いになったからですか?
「なっなぜって……そういうこと……ストレートに聞かないで。俺の態度で……察して欲しい……」
耳に届く弱々しい焦り声に、戸惑う私。
凛とした優雅なプリンス。
立ち居振る舞いに余裕あり。
学園内でのトラブルも、取り乱すことなく対処してしまう。
それがミルキー様。
それなのに……
パーフェクト王子の生徒会長が。
将来の日本を背負う月見財閥の御曹司が。
マイク台の下に隠れて、声を震わせているこの状況。
私のせいです。絶対に。
私がミルキー様に抱きついてしまったから。



