自分の将来に光が見えず、重い溜息がこぼれる。

カバンのチャックを閉めているだけなのに、涙が製造されそうに。



――ミルキー様への未練を、どうにかして断ち切らなければ。




心の痛みをごまかしたくて、手の平を指で強くつねっていると


「海花、ちょっといい?」


優しい声が、遠くから私の耳に飛び込んできました。



「生徒会のことで、どうしても話したいことがあって」



相変わらずの、ふんわり甘々ボイス。



振り向かなくても、誰の声かわかります。

だって私の心臓がすぐさま反応をして、キュンキュンと飛び跳ねていますから。



急いで、顔に笑顔を張り付ける。

そして私は振り向いた。

教室の後ろにあるドアの方に。



ドア枠に片手をつく王子様が、離れたところに立つ私に微笑んでいます。

ふんわり髪を揺らしながら。



絡み合う、お互いの視線。


彼は手を挙げると、心を許したように口角を更に上げた。