海花の泣き顔、見ていて辛かったよ。


海花は普段から、厳しい信念で自分を律しているからね。

『人前で涙を流したら、月見財閥のメイド失格ですから』と言って。



泣きたい時ほど微笑んで、心の痛みをごまかす。

そんな海花が泣いていたんだ。


みんなの前で。苦しそうに。

大粒の涙をいっぱいこぼしながら。




ごめんね。

海花を傷つけて。


生徒集会で海花のことを守ってあげられなくて、本当にごめん。



でも俺も俺で、動揺していたんだ。



今日の昼休み、電話で父さんに言われた。


『月見財閥の嫁にふさわしい娘を見つけた』


『虹の宮学園に転校してくるそうだ。面倒を見てやれ』と。