***
そして数週間後、店先の陳列棚に並んだ私のアクセサリーたち。
レジなどの対応の合間にちらりと見れば、いつだって私の作品の前には、数人のお客がいた。
目を輝かせながら手を伸ばす少女、スーツ姿で細部まで吟味する女性。
デパートの入り口付近の一角だからか、人が流れるようにお店に立ち寄る。
たくさんの人たちに構ってもらえて、アクセサリーたちも嬉しそう。
『いらっしゃいませ』
お決まりの文句を店内に呼びかければ、いつもより軽い声が出る。口角が緩む。
好きなものに囲まれた空間、私の作ったものが世界に飛び立っていく喜び。
しばらくうっとりと夢見心地でいたあと、ふとまた自分の陳列棚に視線を戻す。
するとそこで、スーツの男性がひとりで熱心にアクセサリーを眺めていた。
………男性ひとりって、珍しい。
なんとなく、声をかけた方がいいような気がして。
私はゆっくりと、そのお客に近付いていった。
『……いらっしゃいませ。何かお探しですか?』
私の声に、そっと顔をあげた彼。
スローモーション、視線がこちらを向く。眼鏡越しに目が合う。
彼が目を細めた、その唇が薄く開く。
「………、え、アミ?」
その声、その呼び方。身体中を衝撃が走る。
私のことをアミと呼ぶ、たったひとりの人。
『……もしかして、ユウ、』
記憶の奥の奥に仕舞われていた、大切な名前。
彼がわずかに頷く。
指先が震えた。
目の前に、あなたがいた。
そして数週間後、店先の陳列棚に並んだ私のアクセサリーたち。
レジなどの対応の合間にちらりと見れば、いつだって私の作品の前には、数人のお客がいた。
目を輝かせながら手を伸ばす少女、スーツ姿で細部まで吟味する女性。
デパートの入り口付近の一角だからか、人が流れるようにお店に立ち寄る。
たくさんの人たちに構ってもらえて、アクセサリーたちも嬉しそう。
『いらっしゃいませ』
お決まりの文句を店内に呼びかければ、いつもより軽い声が出る。口角が緩む。
好きなものに囲まれた空間、私の作ったものが世界に飛び立っていく喜び。
しばらくうっとりと夢見心地でいたあと、ふとまた自分の陳列棚に視線を戻す。
するとそこで、スーツの男性がひとりで熱心にアクセサリーを眺めていた。
………男性ひとりって、珍しい。
なんとなく、声をかけた方がいいような気がして。
私はゆっくりと、そのお客に近付いていった。
『……いらっしゃいませ。何かお探しですか?』
私の声に、そっと顔をあげた彼。
スローモーション、視線がこちらを向く。眼鏡越しに目が合う。
彼が目を細めた、その唇が薄く開く。
「………、え、アミ?」
その声、その呼び方。身体中を衝撃が走る。
私のことをアミと呼ぶ、たったひとりの人。
『……もしかして、ユウ、』
記憶の奥の奥に仕舞われていた、大切な名前。
彼がわずかに頷く。
指先が震えた。
目の前に、あなたがいた。