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「中橋さん、今度あなたのアクセサリーを店頭に置いてみない?」



そんな誘いを上司から受けた秋、私は思わず目を見開いた。



『え、店頭に、ですか?』

「そう、中橋さんのハンドメイドの作品、あれ社内で結構話題なんだから」

『………本当ですか、嬉しいです、』

「センスあるって、私も思うし。きっとすぐ売れちゃうわね。それで、どう?」

『是非、是非一度だけでも置いていただきたいです!』



くすりと微笑んだ彼女は、わかった。じゃあ頑張って、と手を振って去っていく。
私は慌てて頭を下げ、嬉しさのあまり小さく拳を握りしめた。


耳元のあのイヤリングに触れる。
あなたのおかげできっと、ここまで来られたよ。