時をこえて、またキミに恋をする。

幹をペタペタと触ってみたり、うろに手を突っ込んでみたり。

はたまた「現代へ返してくださ〜い」と囁いてみたけど、桜の木はうんともすんとも言わない。


そんな桜の木を見上げていると、急に胸騒ぎがした。

本当に、知らない世界で1人残されたような気がして。


しばらくすると、宗治が戻ってきた。


「どうだった?なにかわかった?」

「どうやら今は、火事になる半年前のようだ」


つまり宗治は、死んだはずの日から蘇って、半年前の日に戻ってきたということになる。

これも、都子姫と結婚したいという強い想いのおかげなのだろうか。


「それと、ひとまずお前はこれで顔を隠してろ」


そう言って宗治が差し出したのは、細長い白い布。


「…包帯?」


どうやら、自分の部屋へ忍び込んで持ち出してきたようだ。