時をこえて、またキミに恋をする。

「“顔だけ”都子姫だからな。着物が似合って当然だろ」


…『顔だけ』。

やっぱり、あいかわらず失礼なところは変わらない。


ムスッとして宗治をにらんでいると、ふと宗治の髪になにかついているのが見えた。


「宗治、頭になんかついてるよ?」

「ん…?どこだ?」

「ちょっと待って。今取ってあげるから」


手を伸ばしてつまんで、それを手のひらに乗せた。

月明かりに照らされたそれは、…桜の花びらだった。


「…桜?」

「どこから飛んできたんだろう。こんな時期に桜の花びらだなんて――」


と何気なく上を見上げて……息を呑んだ。


わたしと宗治を見下ろすようにして枝を伸ばす御神木の桜の木。

その枝先には、たくさんの花が咲き誇っていた。


朝見たときは、緑の葉っぱで覆い尽くされていたはずなのに…。