時をこえて、またキミに恋をする。

白地に赤色の麻の葉模様のシンプルな浴衣だった。


「ちょうど今の都美の丈くらいなんだけど…。でもこんな昔の浴衣、着ないわよね」

「ううん、着たい!かわいいから、今年の夏祭りに着ていこうかなっ」

「そう!?それなら、丈を合わせてあげるから1回着てみて」


わたしは言われたとおり、お母さんの浴衣に袖を通す。


「あら、ピッタリ!直すところもなさそうね」


わたしの浴衣姿を見て微笑むお母さん。


「お父さんに見せに行こうかなっ」

「じゃあそのついでに、宗治くんにお風呂に入るように言ってきてくれる?」

「わかった」


わたしは浴衣を着たまま、畳の部屋を出た。


お父さんは、居間でテレビを見ているだろう。

その居間に行くまでに、縁側を通る。


縁側から見える桜の木の前で、宗治はいつもこの時間に素振りをしている。