時をこえて、またキミに恋をする。

――それは、一瞬の出来事だった。


宗治はすばやい動きで拳をかわすと、剣道でいう小手と胴で板東くんに攻撃を入れ、最後は突きで壁に追い詰めたのだった!


板東くんは、宗治の握る木の枝を奪いにかかったのだけど、とても宗治の動きにはついていけてなかった。


「勝負あったな」


宗治のその言葉に、板東くんはごくりとつばを呑み込んだ。

そして、悔しそうに逃げていったのだった。


…驚いた。


この学校では敵なしと恐れられていた板東くんの、あんなそそくさと逃げる背中…。

これまでに一度だって見たことがなかったから。


「びぃ、なにもされてねぇか?」

「う…うん、ありがとう」


宗治はまるで刀を鞘に戻すように、木の枝を腰にあてる素振りを見せた。

しかし、そこでただの木の枝だということに気づいたのか、一瞬恥ずかしそうな顔をすると、すぐにそれを投げ捨ててしまった。