時をこえて、またキミに恋をする。

そう言って、七海はふとわたしの隣にいる宗治に目を向ける。

キョトンとした顔は、「だれ?」と言いたそうだ。


「あ…あのね!今日から新しく転校することになった、春日井宗治くんっていうの」

「転校?こんな時期に?」

「そうそう…!宗治はわたしのいとこで、両親が急な海外出張になって、急遽わたしの家で――」


…という設定。


幕末からタイムスリップしてきましたなんて話しても、だれも信じてくれないだろうから。


「宗治くんね!あたしは菅七海。よろしく!」


社交的な七海らしく、笑顔で宗治に自己紹介をする。

そんな七海をじっと見つめる宗治。


「…えっと。あたしの顔になにかついて――」

「それは、まげか?」

「「まげ…?」」


わたしと七海は顔を見合わせる。


「髪を1つにして結っているだろ?」