時をこえて、またキミに恋をする。

電気、トイレ、お風呂、テレビなどなど、1つ1つ説明するのが大変だった。


でも宗治も物分かりはいいようで、一度教えればすぐに使い方を覚えていた。

意外と適応力があるようだ。


初めは袴じゃないと落ち着かないなんて言っていたけど、今じゃ家では着心地のいいスウェットが部屋着だ。


髪型は、ちょんまげと違って普通の黒髪短髪だから、スウェット姿でくつろぐところを見ると、とてもじゃないけど幕末からタイムスリップしてきた剣士には見えない。


そうして、ゴールデンウィーク明け最初の登校日を迎えた。


「びぃ、そんな格好してどこ行くんだよ?」


居間にやってきた宗治が、制服に着替えたわたしを不思議そうな顔をして眺める。


この間に、わたしは『びぃ』と呼ばれるようになった。

べつに呼び捨てでもかまわなかったのに、『都美』と『都子』じゃ響きが似ているから、名前では呼びたくないらしい。