時をこえて、またキミに恋をする。

「かすがいそうじ…?」


七海は他のクラスメイトとも顔を見合わせるけど、そんな生徒は知らないとでも言いたそうに首を横に振る。


「…えっ……」


まるで狐につままれたような感覚だ。


「高倉!元気になったのか?」


お昼休みには、古関先輩も会いにきてくれた。

しかし、先輩に宗治のことを尋ねても首をかしげられた。


宗治は現代には存在していなかったかのように、宗治の席も宗治が使っていた剣道の防具もなにもかも残されていなかった。

それに、いっしょに写っていたはずの写真には、宗治の姿はなかった。


どうやら宗治のことを覚えているのは、わたしとわたしの家族だけのようだ。


たしかに、宗治はこの時代にいたのに――。

みんな覚えてくれていない。


その日以降、心にぽっかりと穴が空いたような虚しい日々を送った。