「宗治、覚悟しやがれ!」


背後からの声とともに、あるものが俺の背中めがけて飛んできた。

それを目視することなく気配だけでかわすと、俺は後ろにいたヤツに飛びかかる。


「くらえっ!」


そして、大きく振りかざしたまくらを投げつけた。



今は、修学旅行2日目の夜。

俺がいる男子部屋は、夜遅くまでまくら投げが白熱していた。


「また宗治の勝ちかよ〜…」

「お前、…ほんと強すぎ」

「なんで、見ないでまくらをかわせるんだよ」


俺の華麗な身のこなしに、同室のヤツらは疲れて息が上がっていた。


「…よ〜し。体力も回復してきたところだし、もう1試合――」


そのとき、勢いよく部屋のドアが開けられる。


「いつまで起きてるつもりだ!!もうとっくに消灯時間は過ぎてるぞ!」


これからというときに、先生が怒鳴りながら部屋に入ってきた。