ユーゴはりか子によほど懲りたのか、それともまだ未練があるのか、相変わらず彼女を作らず、ことあるごとに樹と楓を誘ってくる。
樹が一緒のときもあれば楓だけのときもある。
これも相変わらずだ。

「彼女が自分の従弟としょっちゅうデートしているって気にならない?」と樹に聞いたことがある。
樹はちらりと楓を見て「気なることしてるの?」と言うので「してないけど」と答えると「じゃあ、気にならない」と笑った。

「ねえ、言っておくけど私は樹が他の女性とデートするのすごく気になるよ」
「気になることしていなくても?」
「心が狭いからね、気になる」

そうなんだと、なぜか樹は嬉しそうにまた笑った。