気づいたのは五分前。



進学先の専門学校も無事決まり、私の誕生日祝いも兼ねて友人たちと遊園地に行くことになった11月の特別寒い日。



ちゃんと着いて行ったはずなのに、どこではぐれたんだろう。



お土産屋さんでちょうど今目が合っているクマさんのぬいぐるみを買うか迷ったりはした気がする。焦ってお店を出てきたせいで買えなかったけれど。



ラーメン屋さんにも一人では行けない派なのに、浮かれるのが目的の場所にひとりぼっちは大分辛い、と思いつつ18にもなって迷子センターは避けたいところで。



中の人の表情が分かるはずもないのに、クマさんの瞳が不安げに見えてくる。心配しないでクマさん、逆にいたたまれない。



「絃音はよく無くすから」とスマホを預けていたおかげで、連絡手段がない。スマホよりも私を無くしてしまった友人たちは今頃必死で探してくれているはず。



とりあえず、入場口まで戻ることにしようと腰を上げる。けれど、随分と長いあいだ足を曲げていたらしく、痺れでまた座り込んだ。



かっこ悪い、恥ずかしい、お家に帰りたい。