ノスタルジックな色を散りばめたくるくる回るメリーゴーランド。観覧車は本当に動いてる?って思うくらいマイペースに進む。



空までも薄い紫が一面に広がって、なるほど、これを「ゆめかわいい」と呼ぶのだろう。



見ているだけで幸せがもらえるこの場所。



金銭感覚をおかしくさせる場所でもあることは、大人だけが知っている。ちなみに大人になりかけの私も知っている。



両耳にリボンをつけたクマさんの着ぐるみと目が合うのは、あまりにもこの場に私が浮いているからか、可哀想だからか。



「いやいやいや、くまさんのこと考えてる場合じゃないって...」




───柳 絃音(やなぎ いと)、今日18歳の誕生日を迎えた私は、遊園地のなかで迷子になりました。