「姫喜、大丈夫だ、咲良のことは、気にするな。
俺たちだって、大丈夫だからさ、な?」



こんな優しい姫喜が裏切り者なわけない。

裏切り者は咲良だ。



「っ、でもっ!
ルゥくん、牧原ちゃんのこと、“咲良”って名前で呼ぶじゃんっ!
それってまだ、気にしてるってことじゃないの?
姫喜、流斗が好きだよ...」



俯く姫喜。

顔は真っ赤に染まっている。



「...え?」

「姫喜のこと好きなら、もう牧原ちゃんのこと、“咲良”って呼ばないで?
お願いっ!」

「わかっ、た...」



俺はその日から牧原と呼ぶようになって、姫喜の彼氏になった。

ずっと、姫喜だけを守りたいとおもってた...