幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「それならいいけど……」

 沙也が悪い意味で泣いたのではないと伝わってくれたようで、明依はほっとしたように、体勢を戻した。

 ちょっと無理をした様子ではあったが、笑みになって、言ってくれた。

 次に手を伸ばして、ベッドのサイドテーブルからティッシュの箱を取る。

 そっと沙也に差し出してくれた。

「ありがとう」

 今度は泣きながらではない声でお礼が言えた、と思いながら、沙也は素直にティッシュを何枚か引き抜かせてもらって、今度こそしっかり涙を拭った。

「なにかあったら言ってね。絶対に抱え込まないでね。約束だよ」

 涙を拭い去った沙也に、もう一度そう言ってくれた明依。

 沙也は心から頷いた。

「うん。わかった……甘えさせてもらうね」

 笑みだけはちょっと無理をしたものだったけれど、それでも表情は笑みに動いてくれた。

 でも沙也の返事は慎ましかったからか、明依は苦笑する。

「甘えるなんて……友達じゃない。当然だよ」

 優しい言葉をくれた明依。

 きっと大丈夫だ、と沙也は本当に実感できた。

 少し休もう。

 気持ちも体も落ち着けよう。

 そうしたら色々考えることになるのだろうけれど、きっと大丈夫。

 私は独りじゃない。

 助けてくれるひとがいる。

 だからきっと、正しいほうへ進めることだろう。