幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 沙也の胸が、じわっと熱くなった。

 心地いい熱が心臓から生まれ、流れる血に乗って、全身に広がっていくように感じられた。

「……っ、あ、……りが、とう……」

 その熱は、沙也の目から雫を零させた。

 ぽろ、ぽろっと落ちて、上半身を起こしていた下、布団のシーツに染みていった。

「え、ちょ、ちょっと、泣かなくても」

 慌てたのは明依だった。

 おろおろした様子で、椅子に座った姿勢から、前のめりになる。

 駄目だ、迷惑かけちゃう。

 思って沙也は、手を持ち上げて目元を拭った。

 それで顔を上げる。

「ごめん、……っ、嬉しく、て」

 涙を拭って、なんとか言う。

 本当に、その通りだ。

 嬉し涙だ。

 今、この状況で、味方になってくれると言ってくれるひとがいること。

 沙也にとって、なにより安堵できることだった。