幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「あ、なにか飲んだほうがいいね。外は暑いんだし……さっき、スポーツドリンクを買っておいたの。すぐ取ってくるよ」

 沙也の声がかすれていたのにすぐ気付いてくれたようで、明依は立ち上がった。

 部屋の端のほうへ行く。

 そこには確か小さい冷蔵庫があった、と沙也は視線で追って、思い出した。

 そしてどうして明依がここにいるのかも、やっと思い当たった。

 きっともう、昼休みなのだ。

 だから様子を見に来てくれたのだろう。

 自分の休憩時間が減ってしまうのに、本当に優しい友達、と沙也の胸をじわりとあたたかくした。

「ありがとう……」

 お礼を言い、持ってきてもらったペットボトルからスポーツドリンクを飲む。

 冷たいドリンクはほのかに甘く、弱った体に優しく染み入った。

「その、……驚くよね。大丈夫……?」

 沙也が、ふぅと息をついて、少し落ち着いたのを見て取ってか、明依がおずおずと切り出した。

 なにを指しているのかはわかるので、沙也は単純に頷く。

「……うん」