幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 沙也は妊娠の可能性について、倒れてしまうくらいショックに感じたくらいだ。

 医者もその気持ちは多少察したのか、今すぐどうこうとは言わず、「まずゆっくり休みましょう。考えるのはそのあとでも遅くありません」と優しく言ってくれて、また、数日休みをもらえるよう、診断書まで書いてくれた。

 沙也は丁寧にお礼を言い、それで少し体調が落ち着くまで、医務室のベッドで休んでいくことになる。

 昼前には、早退するつもりであった。

 倒れてしまっては困るので、タクシーを使うつもりだ。

 両親と実家で暮らしているとはいえ、二人とも昼間は仕事がある。

 いきなり迎えに来てくれとは頼めない。

 それに、倒れるなんて事態になった説明も、今はできそうにない。

 黙っておくのはいけないと思うけれど、医者も言った通り、まずは休んで、自分自身が落ち着くことが必要だ。

 少しだけ許してもらおう、と思って、沙也は目を閉じた。

 真っ白な天井も見えなくなる。

 心の中は、静かだった。

 いいも悪いも、どちらもわからないと、心が訴えているかのようだった。

 そのうち、沙也の意識は眠りに沈んでいった。

 心も体も休めたいというように。

 ゆっくり意識は薄れていって、やがて沙也は完全に眠りに落ちていた。