幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 おめでたですね。

 初期症状ですし、貧血も、体調が悪いところへ、急に察したショックからでしょう。


 言われたことを、奇妙にしんと落ち着いた頭の中で、沙也はもう一度、反すうしていた。

 医務室の白い天井を、ぼうっと見上げる。

 なにもない天井。

 今の沙也の心の中のように、無であった。

 あのあとすぐ医務室に運ばれて、社内の勤務医に診察された沙也。

 もちろん、思い当たるふしがあると、話さないわけにはいかなかった。

 医者はすぐに妊娠検査を施して、しばらくして結果が出た。

 想像通りの陽性診断。

 沙也はどう受け止めていいのか、わからなくなった。

 嬉しいのか、悲しいのか。

 それすらわからない。