幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 清登の婚約はあっさり成立したらしい。

 あのとき、清登とホテルディナーをした帰りのことだが、ばったり会った婚約者。

 確か真悠とかいった。

 彼女は清登に心寄せている様子だったし、きっと前向きな気持ちなのだろう。

 それならきっと上手くいくよね、と沙也はちょっと他人事にすら近い気持ちでそう思った。

 上手くいくなら、それが一番だ、とも思った。

 御曹司の清登。

 いくら近くで育って、ずっと一緒に過ごしたとしても。

 ……沙也のことを好きだったと言ってくれても。

 自分では不釣り合いだったのだ。

 相応しい家柄の女の子と結婚するのが一番。

 ちゃんとわきまえている。

 だから、これからはまた幼馴染として、たまに会って、美味しいお茶でも飲めればいい。

 あの十日間と、最後の夜を思い出すと、ちょっと胸が痛んでしまうときはあるけれど、沙也がすっかり落ち着いた頃だった。

 真夏のむしむしした空気と、ぎらぎら強い日差しの中で、沙也の体にある兆候が表れはじめた。