幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 きっと想いは清登に伝わってくれた。

 清登の手は、沙也の頬に触れた。

 その手が少し震えていたことを、沙也ははっきり感じ取った。

 最後の一線が彼の中で壊れようとしている。

 だから最後の一押しというように、手を持ち上げて、今度は清登の胸元を握った。

 きゅっと、ねだるように。

 瞳を見つめて、そんな仕草をすれば、意味なんてひとつしかない。

 清登が、ぐっと息を詰めるのが見えた、次の瞬間。

「ん……っ」

 沙也のくちびるは塞がれていた。

 やわらかな清登のくちびるが重ねられる。

 恋人同士になってから、何回かキスをした。

 それらでだいぶ慣れたと思っていたのに。

「は、……っあ、……っ!」

 今のキスは、まったく違っていた。

 清登のくちびるは沙也のくちびるを食べるように動き、沙也の呼吸をすぐに苦しくした。

 それでもやめてほしいとは思わなかったし、言わなかった。

 このまま息が止まってしまっても構わない。

 キスで息が止まるなら、本望でもある。