「……ずるいよ、沙也」
数秒だっただろうが、沙也にとっては何時間にも感じてしまうようだった間のあと、清登が、ぼそっと言った。
苦しそうで、喉が詰まったような声だ。
それを聞いただけで、沙也は悟った。
きっと望みは叶う。
最後の想い出はもらえる。
「ずるくていい……、清登くんと、今夜は恋人になりたい……!」
だから最後のひとことを言った。
本当にずるい、と思う。
清登が『なにもしない』と決めた理由くらい、わかっている。
清登が自分で言った『離せなくなる』ということと、同じたぐいの理由がたくさんあるのだ。
触れてしまえば、きっと未練になる。
綺麗に終われなくなる。
美しい想い出だけにするなら、なにもしないのがきっと正しい。
そうなれば、きっと明日の朝も、笑顔で別れられるだろう。
少し寂しげになりつつも、「ありがとう」「また幼馴染として会おうね」と言って別れられる。
数秒だっただろうが、沙也にとっては何時間にも感じてしまうようだった間のあと、清登が、ぼそっと言った。
苦しそうで、喉が詰まったような声だ。
それを聞いただけで、沙也は悟った。
きっと望みは叶う。
最後の想い出はもらえる。
「ずるくていい……、清登くんと、今夜は恋人になりたい……!」
だから最後のひとことを言った。
本当にずるい、と思う。
清登が『なにもしない』と決めた理由くらい、わかっている。
清登が自分で言った『離せなくなる』ということと、同じたぐいの理由がたくさんあるのだ。
触れてしまえば、きっと未練になる。
綺麗に終われなくなる。
美しい想い出だけにするなら、なにもしないのがきっと正しい。
そうなれば、きっと明日の朝も、笑顔で別れられるだろう。
少し寂しげになりつつも、「ありがとう」「また幼馴染として会おうね」と言って別れられる。



