幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 顔をうずめている沙也には見えないけれど、困ったような顔をしているのくらい、わかる。

 でも言ったのはそれだ。

 沙也の胸は、冷たさと熱、両方が混ざり合った気持ちが悪い感覚になる。

 そう言ってくれるのは嬉しい。

 でもそれは聞き入れたくない。

 清登の中で、綺麗な想い出のままでいるなんて。

 それだって素敵なことだろう。

 素敵、だけど。

「じゃあ……、清登くんから離れて。本当に駄目なら、突き放してよ……」

 震える声で、沙也は言った。

 決めていた。

 これで離されてしまったら、諦めようと。

 もう今夜、ここで過ごすこともやめようと思う。

 だって、結ばれないのに一緒にいても、辛いだけだ。

 最後の想い出が手に入らないなら、ここまでの想い出だけを持って、おしまいにしたい。

 生殺しのような、ぬるま湯のような時間は欲しくない。

 痛みしかない時間なんて。