幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 大胆なことを言っている自覚はあった。

 羞恥やためらいがなかったわけはない。

 でもそれ以上に、こんなことは嫌だった。

 最後なのに。

 恋人同士としていられる最後なのに。

 ……結ばれないなんてこと。

「いや、……沙也、なにを」

 清登の表情が、明らかに戸惑った。

 こわばる中に、ためらう色が混ざる。

 それを壊してしまいたい気持ちで、沙也は続けた。

「今夜は恋人同士なんでしょう。それなら、ちゃんと恋人にして……!」

 静かに言っているつもりが、だんだん気持ちが昂ってきたようで、声は張り詰めていった。

 最後は涙混じりにも近くなり、そんな声の表情を晒しているのに耐えきれず、沙也はもう一歩踏み出していた。

 掴んでいた清登の袖に、ぎゅっと顔をうずめる。

 清登がぴくっと反応するのが伝わってきた。

 その動きすら感じていたいとばかりに、もうひとつ、顔を押し付けた。