幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「……清登くん」

 なんとか口を開いた。

 くちびるが震えそうなのを、なんとか堪える。

 清登は牛乳のパックを手にしたまま、不思議そうな顔をした。

 その清登に向かって、沙也は思い切って一歩踏み出す。

 ゆっくりと、一歩ずつ距離を詰めていった。

 沙也の様子か、表情か、さっき呼んだ声か……。

 どこかからか、清登は沙也の気持ちを察したようだ。

 一気に表情がこわばるのが見えた。

 清登のそばまで行って、沙也は立ち止まる。

 手を持ち上げて、袖を掴んだ。

 やわらかなバスローブの生地を、きゅっと握る。

 清登がそれに押されたように、牛乳のパックをかたわらのテーブルに置いた。

 視線だけは逸れなかったので、沙也はその瞳を見つめ、見上げる形になって、胸の奥から言葉を絞り出した。

「清登くんは、……私をホットミルクを飲むような子どものままにしておくの?」