幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 独り、部屋に残って、沙也はそっと胸のあたりを握った。

 今日のために新調したルームウェア。

 シンプルな前ボタンのロングワンピースの形だけど、少し値の張る、女子の憧れである特別かわいらしいブランドで買ったものだ。

 だって二人で過ごすのだ。

 最後の夜だ。

 そういったことがあって然るべきだろう。

 それなら、特別綺麗でいたい。

 だからお風呂上がりではあるが、うっすらメイクも施していた。

 幼馴染なのだから、もちろんすっぴんだって見られたことはあるけれど、それとこれとは別。

 恋人としての夜を一緒に過ごせるなら、きちんとしなければ。

 心臓はすでに、軽くドキドキしていた。

 早すぎる、と思いつつも仕方がないだろう。

 きっと清登が戻ってきたら、夜が本当の意味ではじまるのだろうから。

 恋人同士としての時間。

 本当はずっと、望んでいたこと。

 たった一夜だけでも叶うのならば。