幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

『清登くん! もう学校、終わったの?』

 一階のリビングで絵本を広げていた沙也は、庭に続く窓から聞こえる声に気付いて、いそいそとそちらへ向かった。

 重たい窓を、少し苦労しながらも、がらっと開けると、庭で清登がランドセルを背負って笑っていた。

 短い黒髪は活発な印象の髪型。一重の目はきりっとしていて、頼りがいを感じさせる印象だ。

 まだ小学生だけど、二歳上で、しかも男の子ということもあり、沙也よりだいぶ背も高い。クラスでも後ろのほうだと聞いたこともある。

『おう! ソッコー出てきたからな! 早かっただろ!』

 元気よく、にかっと笑った笑顔は、沙也にとってまるで太陽のようだった。

『うん! もっとかかるかと思ってた』

 同じような笑顔を返して言った沙也に、清登はきっぱり言い切った。

『特別な日なんだから、早く帰るに決まってるって。……よし! 沙也、これ』

 そして下ろしたランドセルをごそごそと探って、ひとつのものを取り出した。

 小さな箱。少し曲がった、水色のリボンが掛けてある。

 テラスに出ていった沙也に、それを勢いよく差し出した。

『沙也、誕生日おめでとう! 早く渡したくてさ』