もちろん、清登の立場は変わらない。
祖父が会社経営者の御曹司であることは変わらない。
きっといつかは父の跡を継いで経営者になるのだ。
だからいつかは結婚すると決まっていたし、跡継ぎも作るとわかっていた。
それでも、もしも『恋人』という存在が以前からいたなら。
なにか変わっていたのではないか、とは思うのだった。
ただ、沙也はそれを口に出さなかった。
清登も同じだった。
もう今、言っても遅いから。
悲しいことだけど、後悔は先に立たないものと決まっているのだから。
言ったところで清登を謝らせるだけだ。
そんな言葉は聞きたくないし、言わせたくない。
だから、これでじゅうぶん。
むしろこんな素敵な時間をもらえただけでも、勇気がなかった自分にとってはもったいないくらいだと思う。
そんな二日間は穏やかに過ぎていき……、やがて十日目の夜がやってきた。
祖父が会社経営者の御曹司であることは変わらない。
きっといつかは父の跡を継いで経営者になるのだ。
だからいつかは結婚すると決まっていたし、跡継ぎも作るとわかっていた。
それでも、もしも『恋人』という存在が以前からいたなら。
なにか変わっていたのではないか、とは思うのだった。
ただ、沙也はそれを口に出さなかった。
清登も同じだった。
もう今、言っても遅いから。
悲しいことだけど、後悔は先に立たないものと決まっているのだから。
言ったところで清登を謝らせるだけだ。
そんな言葉は聞きたくないし、言わせたくない。
だから、これでじゅうぶん。
むしろこんな素敵な時間をもらえただけでも、勇気がなかった自分にとってはもったいないくらいだと思う。
そんな二日間は穏やかに過ぎていき……、やがて十日目の夜がやってきた。



