幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 カフェでのランチを終えて、のんびり散歩の続きをしながら、自然に手は繋がれていた。

 その昔、こうして手を取り合って、このあたりを遊びまわった、と頭に浮かぶ。

 清登もそれを思い出したようで、懐かしそうな声になった。

「あの頃は無邪気だったな。なにも心配することがなかったし、しがらみもなかった」

 遠くを見ている目で、ちょうど歩いていた河辺の先に視線をやりながら、清登は話す。

「沙也とも気軽に手を繋げた。小学校高学年に入る頃には辞めちゃったんだったかな。照れくさくてさ」

 目に映っているのは、きっと美しい昼の日差しではなく、その頃の自分なのだろう。

 清登の声は、優しかった。

「それは……私だって同じだったから」

 沙也はつい苦笑してしまった。

 照れくさく思ってしまったのは、自分もそうだった、とはっきり思い出した。

「そうだったのか? まぁ、そういう年頃だよな」

 清登もつられたように笑う。