幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 清登は沙也より二歳上。

 学年は違ったけれど、近所に住んでいて、いわゆる幼馴染といえる関係だ。

 年上ということもあるだろうが、清登はとても面倒見のいい性格で、年下の沙也をあちこちへ連れていってくれたものだ。

 そしてその先では大抵、楽しいことや、初めて見るもの、わくわくする気持ちが待っているのだった。

 現在、二十四歳の沙也にとっては、もう二十年ほど昔のことになる。

 物心つかないうちから、親同士のご近所付き合いで知り合って、ずっと学校も一緒だったというわけではないけれど、少なくとも、近所で過ごすときは一緒だった。

『沙也! 遊びに来たぜ!』

 今でもまぶたの裏に、ありありと思い出せる。

 夜明けに見た、夢かも怪しい、ぼんやりとした記憶。

 その日、低学年の沙也は、早く学校が終わって帰宅して本を読んでいたところだった。

 そこへ清登が声をかけに来た。

 学校での友達もたくさんいるのに、今日は特別だからと、早く帰ってきてくれたのだ。