幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「十日間しか恋人でいられないなんてごめん。……でも」

 少し切なそうな声音で清登が言う。

 沙也の胸も、ずきっと痛んだ。

 ただ、『でも』の続きに、また胸の中と体は、かぁっと熱くなった。

「でも、だからこそ一番大切な時間にしたい。人生で一番、素晴らしい時間を沙也と過ごしたい」

 胸から心臓が飛び出しそうなくらい、高鳴った。

 人生で一番。

 この十日間を、それほど大切にしてくれるなんて。

 喜びで、涙すら込み上げそうになったくらいだ。

「……私も……そう、したいよ」

 でも涙は呑み込んで、沙也はそう言った。

 清登の言葉を受け止め、同意する言葉。

 沙也の言葉に清登はちょっと腕の力を緩め、顔を上げた。

 沙也も顔を上向かせる。

 もちろん、清登と視線が合った。

 切なそうな色をしている、瞳。

 だがその瞳は沙也だけを見つめていて、愛おしそうな色もたっぷり滲んでいた。

 瞳の美しさに、つい見入ってしまった沙也。

 清登はその沙也の頬に手を伸ばして、そっと包み込んだ。

 素肌の頬には、抱きしめられていたときよりはっきり体温と感触が感じられて、沙也の胸に、もっと強い幸せが溢れてくる。

 つい目を細めていた沙也。

 その表情をどう思ったのか、清登もその愛おしそうな眼差しをそっと緩めて、やがて沙也に顔を寄せた。

 ふわりと一瞬だけ触れ合ったくちびる。

 優しい体温と、やわらかさは、沙也の胸をいっぱいに満たしてきた。