幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 やはり最後は少しだけ間ができた。

 それはなんのためだったか。

 言いづらかったためか、それとも沙也を気遣ってくれたためか。

 後者であったらいい、と思いつつも、口に出せるはずもないので、沙也は愛想笑いを浮かべた。

 彼女……真悠も笑顔になった。

「よろしくね」と言ってくる。

 その笑顔は、やはり沙也と同じ、愛想笑いに見えたけれど。

「幼馴染さんと食事?」

 真悠は清登を見やって、聞いている。

 そう聞かれて、清登は気まずそうになった。

 確かに、ただの幼馴染とドレスアップして、ホテルディナーをしたあとという様子では、婚約者に見られたら気まずいだろう。

 そのためだろうか。

 清登の返事には少し嘘が混じっていた。

「ああ。彼女が誕生日なものでね。お祝いに来たんだ」

 どうして嘘をついたのかなんて明白なので、沙也は軽く驚きこそしたものの、訂正しようとは思わなかった。

 だって、本当のことを言えば、ややこしくなるに決まっている。