幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「あら、かわいらしいお嬢さん」

　目の前に立ち止まって、彼女はまじまじと沙也を見てきた。

　言葉はそれだったが、どこか不審そうな表情をしている。

　それはそうだろう。

　もし彼女が本当に『そういう』ひとなら不審に思って当然だ。

「真悠、こちらは伊月 沙也。俺の、……幼馴染」

　清登は落ち着いた様子で沙也を示し、紹介してくれた。

　でも最後だけ、少し間ができた。

　そしてその間は、沙也の胸を、ずきん、と痛めてくる。

　そう、恋人関係を結んでも、ひとに言えるようなものではない。

　関係性をひとに説明するなら『幼馴染』でしかないのだ。

　だが表に出すわけにはいかない。

　沙也はにこっと笑ってみせた。

「よろしくお願いします」

　無難な挨拶をしておく。

　次に清登は彼女を示した。

「沙也、こちらは二夕川(ふたがわ) 真悠さん。俺の、……婚約者だ」