幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「パパに呼ばれたの。もう、こんな時間に呼び出さなくてもいいのにね」

「はは、そうか。御父上もお忙しいんだろう」

 親し気なやり取りをはじめた、清登と彼女。

 まさか、このひと。

 ざわざわしながら、違っていてほしい、と沙也はいつの間にか願っていた。

 でも残念ながら、それは叶わなかった。

「ごめん、連れがいるんだ」

 少しだけ話したあと、清登がすまなさそうに言った。

 沙也はどきっとする。

 自分を指されていたのは明白であった。

 だが、紹介などされたらどうしたらいいのだろう。

 もし本当に『そういう』関係のひとなら、どう名乗ったら……。

 嫌な具合に胸がばくばくしながらも、沙也は慌てて立ち上がった。

「ごめん、沙也。待たせて」

 こちらを示して沙也に声をかけ、歩き出した清登に、彼女も付いてくる。

 連れ立って歩いてくる形になるのを目にしてしまって、沙也は言われる前にわかってしまった。