幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 言われて沙也は驚いてしまった。

 こういう家柄で、これほど豪華な車なのだから、運転手はいるものだろうと想像できていた。

 だがこうして迎えに来てくれるなんて。

 しかも自分のことも送ってくれるなんて。

 なんて……気が利く、優しいひとなんだろう。

 感じ入っていた沙也に、清登は少し悪戯っぽいような目をして、もうひとつ、驚かせることを言ってきた。

「デートで運転手がいるなんて無粋だろ? だから反対を押し切って、行きだけは俺が運転することにしたのさ」

 まったく、悪戯が成功した子どものような表情と言い方だった。

 子どもの頃、たまに見せたものと変わっていない。

 沙也は懐かしさと、嬉しさと、少し膨れる気持ちと……でもそれ以上の喜びを同時に覚えてしまった。

「……ありがとう。嬉しい」

 返事は素直に出てきた。

 これほど自分を大切にしてくれることが嬉しいと思う。

 その気持ちをそのまま伝えたい。

「それなら良かっ……、あ、そろそろ料理がはじまるな」

 清登が言いかけたとき、まずはスープが運ばれてきた。

 とろりとしていそうな、薄黄色の液体が入っている。

 上に散らされているのはパセリだろう。