幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 そして沙也の内心と同じように言うものだから、沙也の緊張や気恥ずかしさは、ゆっくり溶けていった。

 二人とも、慣れていないのは同じなのだ。

 それならきっと、大丈夫。

「さぁ、行こう。そろそろ時間だ」

 すっと清登が手を伸ばしてきて、沙也は今度、あまりためらわず、動揺もせず、手を伸ばしてその手に重ねた。

 すぐ清登が軽く握ってくれる。

 やはりあたたかく、大きなその手。

 ああ、こうして触れられるなんて、これ以上の幸せはないよ。

 素敵なドレスアップ姿より、このあと美味しいディナーが待ってることより、ずっと嬉しい。

 そのように胸の中で言ってしまったくらいだ。

 二人はホテルの廊下へ出て、エレベーターに乗って……レストランにある階へ向かった。

 レストランはもちろん、とても豪奢で、それでいて上品で、沙也がこれまで入ったことのあるお店とは比べ物にならなかった。

 つい目を白黒させてしまったくらいで、隣の清登は「素敵だろ」と、くすっと笑ってきたのだった。