幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 支度は三十分ほどだっただろうか。

 清登がまた迎えに来てくれた。

「沙也、すごく綺麗だね」

 ドアを開けると、グレーのスーツを身に着けた清登が立っていて、すぐに褒めてくれた。

 沙也の胸が、ほわっと熱くなってしまう。

「あ、ありがとう。変じゃないかな」

 嬉しかったけれど、普段しないような格好なのだ。

 気恥ずかしくて、そんなふうに言ってしまった。

 清登はさらりと否定してきたけれど。

「そんなわけがあるか。水色が沙也によく似合う」

 その上、もうひとつ褒めてくれるものだから、沙也はもっとくすぐったくなってしまうだろう。

 清登こそ、グレーのスーツに淡くチェック柄の入ったシャツ、ネイビーのタイを締めていて、初夏らしく、爽やかなスーツスタイル。

 髪も軽くセットされていて、より洗練された印象になっていた。

 沙也が数秒、見入ってしまったのはわかったのか、清登も照れたようだった。

「こういう格好を見せたことはあんまりなかったよな。ちょっと気恥ずかしいかもしれない」